舒城戦前夜

★ルー将軍とパン、「戦は博打だ」「わが軍は声だけ応援する」の会話

これ、すごいセリフですよねー!声だけ応援て!一瞬冗談かと思いました…ここ、笑うとこ?って(笑)
まあ中国は四面楚歌みたいな故事もある国だから、声だけの援軍もあなどれないのかも知れない
…けど(笑)

このセリフ、劇場版と完全版とで位置が違ってます。パンが「明日の戦は肉弾戦で」って発表する前か
後か。

劇場版は、発表後。
大臣から兵を借りはしたものの、それはパンが自由に扱える兵ではなく、あくまで援軍。山軍が先鋒で
戦うのは決まってる。山軍が最初に太平軍を撹乱できたら、ルー将軍の緑軍が参戦してくれる、って
感じなんだけど…山軍にはロクな銃もない。ってことで、あの肉弾戦法で行くことにした。しかし、いざ
決戦の朝になってみるとルー将軍は、参戦しないと言い出した。800人で撹乱するなど出来るわけがない。
しかもそんな戦法で。博打だ、わが軍は参戦しない。声だけ応援する。
何だと!?それではクイ軍に見殺しにされた鶴川の戦いと同じではないか!…いや、今回は違う。
俺は隠れて生き延びたりはしない。命をかけてルー将軍を引きずり出してやる…!って展開かな?

完全版は、発表前。
大臣から兵を借りはしたものの、ルー将軍と意見が合わない。山軍は800人?うちの兵と合わせても
数でまったく太平軍に適わない。そんな勝ち目の無い勝負には参戦できない。うちは声だけ応援する。
って感じに断られた。なんとか山軍だけで勝つ方法は無いものか…?しかし、うちにはロクな銃もない。
肉弾戦で行くしかない。で、決戦の日。開戦後、しばらくはパンの作戦通りだったが、予定より早い
アルフの突撃もあり…このままでは山軍は総崩れだ。もはや、緑軍を参戦させるしか、この戦に勝つ手は
ない。ルー将軍に動く気配はあるか?いや、無い。ええい、どのみち戦は博打だ!突撃!さあ見ろルー、
お前は座して朽ち果てるのか、それとも、共に戦うのか!?…みたいな展開かな?

完全版の方が先に援軍を断られてるわけで、それで「勝つ方法は肉弾戦しかない」って話になるんだから…
山軍だけで勝とうとしてた、ってことですよね?とすると完全版のパンは、相当博打度が高いです!
または、さすがに山軍だけで勝とうとまでは思ってなくて…ルー将軍が勝ち目の無い戦はしないと
言うのなら、勝機が見えさえれば奴は参戦する。って感じで、その「勝機が見えたとルー将軍が思う
ような状態」にまでもって行くことを「勝つ方法」と表現したのかな?
どっちにしても完全版は、最初っから排水の陣です。勝つか、全員死ぬか。みたいな感じで。

劇場版の編集だと…緑軍が来ることを前提として、それで勝つにはあの戦法しかないってことに
なったのに、開戦の朝に断られた。しかもそれを知ってるのは、ルー将軍と直接話したパンだけ、って
感じに見えて、ルー将軍が動くかどうかはパン一人にかかってる、って印象だったんですよね。

…例えて言うなら団体旅行で、ルー君の部も参加してくれると人数揃うから色々団体割がきくんだけど
行かないってさ〜。しょうがない、値は張るけど個人プランで俺たちだけで行くか!って完全版と、
当日の朝になって我々は欠席します、てゆーか最初から参加するって言ってないし。というルー君からの
電話を受けて、ええっ今更言われても頭数に入ってるのに!全部個人料金になってキャンセル料まで
払えって?そんなの皆に言えるかよ〜あああチャーターしちゃった大型バスどうしよう…と青ざめる
パン幹事。みたいな劇場版。…う、この例えはダメだ(笑)

でもまあそんな風に、パン一人が重荷を背負ってる感が強かった気がします。そういえばこのシーン、
劇場版の方はパンがルー将軍をチラチラ見る映像がもっと多かった気がするなあ。

…あ?あー…なるほど…。なんとなくわかってきました。というか、仮説を思いつきました。ここも含めて、
全体通しての印象ですけど、劇場版はパンを「孤独な悲劇のヒーロー」的な演出で見せたいんじゃないかな?

そう考えると、他のシーンの削除とか順序の変更も、なんとなく納得行く気がします。この説はまた後の
シーンでも書いてみますねー☆

★少年兵の「兄上♪」のシーン

中華鍋のような盾に隠れて近づき、「兄上♪」と笑う少年兵。無邪気な笑顔が可愛…いやいやいや!
兄上の笑顔の方が可愛いですー!!!(笑)

このシーンはいいですねー♪数少ないパンの笑顔です。とくに劇場版なんて、ここと「三年間」の中の
横顔ぐらいしか笑顔がないですもん。

映画館で見た時、パンもアルフやウーヤンと同じように慕われるようになったんだな、って、嬉しかったなあ♪
劇場版だと、ウーヤンが靴をもらうシーンがこのちょっと前にあって、その時は子供が「あの人からさ」って
言ってますからね。投命状を誓ったけど、まだ名前も覚えてもらえないのかな〜って。それがこのシーンで、
「あの人」から「兄上」に格上げされてる!みたいな(笑)

劇場版でも完全版でも、パンがこんなに仲間と親しくなったとわかる重要なシーンですね。そして、その仲間を
死地に立たせる決断をするパン。自らそれを受け入れるウーヤン。鼓舞するアルフ。士気が上がる兵達。
山軍の中の力関係…というか、互いにどう影響しあうかが見て取れるシーンでもあります。「金、食糧、女」と
叫ぶ兵達に戸惑いの眼差しを向けるパンの表情が、考え方の違いから来る後の悲劇を暗示している
ようでもあります。
でも、あの顔も好きなんですよね〜(笑)


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