リィエンの…手紙?

リィエンがウーヤンに殺される前、ウーヤンが訪ねてきた時リィエンは何か書いてますよね。

あれは何なのか気になります。手紙…かな?もし手紙だとしたら、誰宛かなあ…とか。

でも考てみたら、リィエンが手紙を書くとしたら、相手はパンしかいないんですよね。

アルフと、多分ウーヤンも字が読めないし、他に親しい人で字が読める人…っていったら、

パンだけ。

その辺りから、リィエンについて色々考えてみました。


まずリィエンは売られそうになったとき、アルフに助けられます

売られる、と聞くと今の感覚だとひどい親だなあと思いますが、その頃は

器量よしの子に芸を仕込んで売る=「揚州の痩せ馬」

なんて、それをあらわす例え言葉ができるくらいに一般的…というか、珍しくないこと

だったんですね。勿論珍しくないからといって、それがいいことだとは言いませんよ!

いいとか悪いとかじゃなくて、そういう事が当たり前のように行われている環境の中で

育ってきたリィエンは、

売られるのは勿論いやだけど、死んだら終わり。生き抜かなくちゃ。

というような、ある種の諦観を持っていたんじゃないかと思います。


生きるためだから、芸を身につけるのも、勉強するのも一所懸命やる。

この頃のリィエンは、受身ではあるけれど、ふわふわ漂うように生きている…というのとは

ちょっと違う気がします。時代の波に翻弄されながらも、とにかく生き延びようとしてる感じ。


ところが、アルフに助けられて、村から逃げてから…

たどり着いた村では、自分が身につけたものが何にも役に立たない。

自分だけが異質な物だというような、孤独感もあったんじゃないかと。


戦もはじまり、とにかく生きなくちゃという思いは同じだけど…

元の村にいた時と違って、ただ待つことしかできない。

アルフをただ待って、守られてる。

餌を待つカゴの鳥です。

南京で、「おれみたいな男は必要ないのかも」と思えてきたアルフみたいに、

生きてる実感がなくなっちゃったのかな、と思います。


リィエンは、何も出来ない状態がもどかしいし、待つ側の気持ちをわかって欲しくて

家出をしてしまう。

でもアルフは、「リィエンお帰り〜♪散歩か?危ないからあんまり遠くには行くなよ?」

程度の反応だったんじゃないかなあ…。リィエンが自分から離れるなんて露ほども

思わなかっただろうし。


…んで、リィエンは何度目かの家出中、パンに出会って。

パンを助けた夜、リィエンは、「よし、決めた!」みたいな、ちょっと嬉しそうな顔で

パンのベッドに向かいます。パンがいい男だから、っていうのは重要な要素ですが、

これはひとまず置いといて(笑)、リィエンは、自分に出来る事があるのが嬉しかった

ってのもあるんじゃないかと。


リィエンは、私が守ってあげなくちゃと思わせてくれるような、どこか脆い所のある男性が

好きだったのかな、と思えてきました。


アルフはリィエンを助けて一緒になったわけだし、守る対象だから、ずっと弱みを

みせなかったと思うんですよね。甘えることはしても、頼りはしない。

パンは頼ってくれる。彼が抱えている問題の根本的な解決には役立てないけど、

一緒にいる時間だけは、心を守ってあげられる。

あと、リィエンはアルフを待つ側だけど、パンとリィエンだと、逆ですしね。

「待ち過ぎて夢に思えて」くるほど、狂おしく自分のことを思ってくれてるんですもんねー、

この果報者め(笑)。

リィエンは、パンといると自分は、待つ立場じゃなくなれる、行動する側になれると

思ったかも。



アルフにとっても、リィエンは心の支えになっていたと思うけど、そういうこと言わない

人っぽいし。男は強くあるべし!女はか弱いから守るべし!みたいな。

でもリィエンは、実はアルフが思っているほど弱い女性ではなく、自分の足で立って歩いて

行動するのを望む人間だったんじゃないかな…。


南京で、アルフがはじめて弱みを見せたときは、リィエンは嬉しかったと思います。

村に帰りたいっていうのは嬉しくないけど、一緒に来いとか、一緒に帰ろう、じゃなくて、

一緒に来るか?ときいてくれたので。なんか、ちゃんと意見を求められたことで、認められた

みたいな気がして。



んで、そういうリィエンが手紙を書くとしたらですね、どんなのだったか想像します。


あのときは確か…パンを暗殺する計画があるらしいと聞いたアルフが、リィエンに

「心配ない」みたいなこと言って飛び出していった後。

アルフはパンと袂を分かったはずだけど、パンの身に危険が迫ればやっぱり放って

おけないで、守ろうとする。投名状を持ち出すまでもなく、そういう人なんですよね。

だから、南京には「自分は必要ないかも」と言ってたけど、多分これからも

命を狙われるであろうパンの傍にはアルフが必要だし、アルフ自身もそう思ってくれる

のでは。…と、リィエンは思ったりしたかなあ?

もしそうだったら…

「アルフはこの一件で南京に残るでしょう。でも、これほどまでに兄である貴方を大事に

思っているアルフをこれ以上裏切り続けることは出来ません。貴方の事は愛していますが、

もう終わりにしましょう」

みたいな決別の手紙を書いてたりして…そしたらそのあとのウーヤンの行動が…

非常に…うーん…。


って、気になったので思うに任せて書いてみましたが、あれ手紙じゃなくて

「仕立て屋さん、上等の生地で服3着お願い」とか

「暇だな〜手慰みに詩でも書くか!」みたいな物だったりして!

DVD出たら一時停止して見て…も…中国語はわかんないや(笑)



そうそう、このシーン、手紙かどうか以上に気になることがありまして。

書き物してるリィエンが、妙に落ち着いてる気がするんです。


ウーヤンが訪ねてきたとき、アルフはどこに行ったかと尋ねられると、切羽詰まった

様子もなく、兄上の所へ行ったと答えてる。普通…好きな人が殺されそうな計画が

あるって聞いたら、もうちょっと違う反応すると思うんだけど…。

ウーヤンに、こういうことだからあなたも早く兄上のところに行って!ぐらいのことは

言ってもいいし。暢気に書をしたためてる場合じゃないよなあ。

あまりにリィエンが暢気なので、一瞬…リィエンはパンがアルフを罠にかけようとしてるのを

知ってて、共犯なのか!?と、とんでもない事を考えてしまいそうになりました!

パンはアルフを排除しろと朝廷から言われて、その後リィエンと連絡とる暇なかったと思うし

そういうことリィエンに話したりしないと思うので、これはありえないよなあ。


アルフに「心配ない」って言われて、それを真に受けた…ってことなのかなあ…

うーん。謎です。



このシーンの後…ウーヤンが、リィエンを殺しに来ます。

そのときリィエンは上等な布の話をしますが、あれはもっとキレイな服が着たいから

殺さないで〜っていう意味じゃなくて(そういう意味もあるだろうけど、それだけじゃなく)、

これからやりたいことが一杯あるのに、ってことが言いたかったんじゃないかな、という

気がします。

ずっと誰かに従う生活をしてきて、今やっと自分の意思で行動できる時が来たってときに

死にたくない。というような。


リィエンのイメージが、最初のふわふわ生きてる感じから変ってきて、

彼女は本当は自分で物事を決めたり、行動することができる女性で、内に秘めた力がある

のに、時代に翻弄されてその力を発揮せずに命を落とした。…みたいな事も言いたかった

のかな?って気もしてきました。シュー・ジンレイさん(この人私は知らなかったんですが、

女優だけじゃなく監督やったり、すごく活動的な人なんですね。)を起用したのはそういう事

なのかな、と。