権力者の顔

リィエンとの逢引をウーヤンに目撃されちゃう場面。ウーヤンと目が合ったパンは

すぐ窓を閉めずに、何らかの意思を込めた強い眼差しでウーヤンを見据えます。


最初目が合った時は「つまみ食いが見つかってドキッとしたダニー」

みたいな顔なんですけど(笑)、舟が橋の下をくぐって出てきたときの顔が

今までに見たことが無い部類の顔だなあって気がしました。


例えて言うなら「権力者の顔」みたいな感じ。

怖いな、と思いました。

が、同時に…惹かれました…vv



■始点と終点■

南京を攻略した3人は、「やっとここまできた…」という気持ちだったと思います。

でも、アルフとウーヤンは「やっと終わる」で、パンは「やっとスタートラインに立てる」

みたいな気持ち。国を動かそうとするパンにとっては、こっからが本番なんですよね。


なのに…アルフ…勝手に恩賞分けちゃう…。

ここでのパンは、もう以前のような「やっちゃったよアルフ…」みたいな顔はしません。

敵意をみなぎらせた目でアルフを睨みつけます。アルフが確信犯だから。

今までの、軍のため、パンのため、未来のため、と思ってやったけど、裏目に出ちゃった

って行動とはあきらかに違う。アルフもパンを睨み、軍の頭は一人だ!…って…

そんないやがらせしないでアルフ…(泣)。


今まではちょっとの失敗なら、太平天国軍を壊滅させるっていう起死回生の大技が出れば、

全部帳消し!にできたけど、この先はもう戦は無くて…統治の面で地道に一歩一歩、

着実な成果をあげて行かなきゃいけない。後ろ盾が無いパンは、一回の失策が、

即失脚に繋がるだろうから。

絶対に、目立つ失敗は出来ないはずだった。でもアルフはやってしまった。


パンにとっては、

今まで片腕であり友で弟で、盾で矛でもあったアルフが

アキレス腱というか獅子身中の虫というか、抜き身を懐に抱いているような

危険な存在になっちゃったわけで。


これまでパンはアルフとウーヤンに対して、怒鳴ったりはしても、威圧的な態度をとった事は

ないんじゃないかと思うんですよね。

3人は指揮する側とされる側ではあるけれど、友であり兄弟だし、共に戦う仲間だという

気持ちが強くて。

でもここで、アルフはパンの野望達成の障害になることが確実になった。

今までみたいに三人仲良し兄弟で、ってわけに行かなくなった。

自分はもう彼らの仲間ではなく、彼らを従わせる人間にならなければいけない。

アルフを従わせる事ができなければ、排除するしかない。

…みたいなことを考えるようになったとこで、逢引の場面になったんじゃないかと想像すると…

ウーヤンに見つかった時の顔は、兄の顔。橋をくぐって出てきたときの顔は、

自分の意思に相手を従わせようとする権力者の顔、って感じに見えます。

誰にも邪魔はさせない、邪魔するなら潰す。っていうような。

それと、

「さあ、おれとアルフ、どっちにつくんだ?」

って言ってるような気もします。

もうおれはお前が慕ってきた兄とは違う人間になったが、まだついてくる覚悟はあるのか。

みたいな。


でもなあ、もう兄弟関係ではいられないっていうのは、パンにとっては当然の変化かも

しれないけど、ウーヤンにとっては…兄上、勝手すぎる。

生きる指針を与えられて、突然それを奪われて、放りだされたって感覚かも。



パンはアルフとウーヤンに、村に帰って欲しかったかもしれないな、と思います。

アルフはこれからも何かと突っかかってくるだろうし、

政治の世界でパンの腹心として生きるには、ウーヤンは真っ直ぐ過ぎる。

側にいてあの時の選択が正しいと見届けて欲しい気持ちはあるけど、

自分がすることを邪魔するなら…邪魔した彼らを処刑しなきゃいけなくなるなら、

南京から去って欲しい。

でもリィエンは置いてけ、みたいな(笑)



舟のシーンの前、料亭?で、アルフが酔って笑いながら泣くシーンがありますね。

顔の赤みとか、酔ってる演技が本物っぽくて上手いな〜と思いました。

ぽろぽろっとこぼれる涙もすごく自然で、見てるのが辛いぐらいでした…。

リィエンがこのアルフの涙を見てたら、少し違ってたのかなあ…。


こんな思いをして、その直後にクイ将軍に取引を持ちかけられて、でも絶対応じないアルフ。

…その時にパンはリィエンと逢ってるんだよなあ…。

このときばかりはさすがに、アルフが気の毒になりました。


でもパンの顔見てドキっとして、これじゃリィエンが浮気するのもしょうがないか〜〜

…と思ってしまったり(笑)