蘇城城主

城主の太刀筋が鋭くて、本気でアルフ危ない!!って思いました☆

二人は互角の腕だから、アルフがまだ話聞くつもりで

戦闘状態に入ってなかったら、こんな風だったかも…ってことで(笑)


5/25追記文は下にあります。この文をクリックするとそこまで移動します。



■死ぬのはたやすい■

最初見た時は、ちょっとカッコイイかも?城主も辛い立場だよね〜…と思ったのですが、

だんだん見方が変わって来ました。この城主は甘い!甘すぎる!

兵達の行く末を心配するなら、死んじゃだめだよ!


阿片は単なる痛み止めだから…って言うのは、苦しい篭城生活で感じる心の痛みを

阿片で紛らわしていたと解釈していいのかな。

なんて言うか、この人は一軍を率いる立場にあっても、将軍じゃなくて…革命の夢に酔う

夢想家、みたいな感じがします。部屋の感じとか風貌も、軍人って言うより文人風だし。


人の顔を見るのが好き…っていうと、新しい人物に会って友達になったり見識を広めたり

するのが好きな、社交的な性格だったのかな…とか。

あ、純粋に顔を見るのが好きな…人相見が趣味、かも知れないけど(笑)


私財を売り払ったってことは、売り払える財があったってことだから、昔は割りとお金持ちで、

多分教養もある伊達男。で、若き理想に燃えて太平天国に入信。

熱っぽく理想を語るその姿はカリスマで、瞬く間に兵の心をとらえ太平軍の中で大きな存在に

なって行く…。みたいな感じかな〜。妄想しすぎかな(笑)


兵達は城主に心酔していて、きっと最後の血の一滴まで戦うというのは

はったりじゃなかったと思う。

で、城主の方も、慕ってくれる部下を大事に思っていて

自分は死んで、兵を助ける道を選んだわけだけど


自分のプライドは守りたいから投降はしない、でも兵は助けてね。

って、ちょっと…虫がよすぎ?って気がしちゃうんですよね。


蘇城を落とした後、山軍は太平軍の本拠地である南京に向かうだろう、って事は

城主なら予想できると思う。

で、兵が城に食料を盗みに来るぐらいだから、山軍は兵糧が不足してるのも知ってる。

そしたら、アルフに託したところで…食糧が不足してる山軍が、南京に出立する前に

4000人もの投降兵にただ食糧を分けてくれる、ってことはありえないって…わかりそう

なんだけどなあ…。


そこまで考えずにアルフに兵を託したんだとしたら、城主は甘すぎって言うか、無責任だと

思うんですよね。ほんとに兵を助けたかったら、投降してなりふり構わず生き延びて、兵が

助かるとこまで見届けなくちゃいけないんじゃないか、って。


自分も一緒に投降して、何よりも生き延びる事が大事だ、山軍に入りなさい、

そうすれば食べ物はもらえる。って兵を説得するとか。

そしたら、シーみたいな頑固者以外は(笑)、しぶしぶながらも承知して助かったかも

知れないし。


兵を救うため…って、お芝居のように(映画だから全部芝居じゃんというツッコミは無しで)

綺麗に人生を閉じてしまうような城主だからこそ、兵達は惹かれたのかも知れないけど…。


あ。もしかして城主、食糧を盗みに忍び込んだ山軍兵達のこと、ただの夜襲だと

思ってた?山軍には潤沢に兵糧があると思ってたとか。

そしたらちょっと話は違ってくるかなあ……?


パンは、兵たちに食糧を約束したら、それを守るために、屈辱的な待遇を受けても

大臣を夜明けまで待つこともするし、あの魁将軍と取引も出来る人です。

でも…どっちが英雄っぽくカッコよく見えて、兵が憧れをいだくか…っていうと、

きっと城主の方なんですよね。


城主はプライドを保ったまま、兵の崇拝を集めたまま死んじゃった。後をアルフに託して。

ということは、兵達は命が助かれば、城主様が犠牲になってくれたお陰だ、と思うし

何か不都合が起きれば、アルフが約束を破った!と思って恨みますよね。

アルフが約束を守ろうとしてるのに、パンがダメ出しした。となれば、パンを恨みますよね。

そういう状態になったのは、城主のせいなのに。

なんかすごく…ずるいんですけど(笑)


ここから追記:5/25
次のページを書こうと思って、アルフについて考えてたら段々と城主についての認識が

変ってきました。なので、そのアルフについて、のとこから書いときます〜。


アルフが蘇城に乗り込んだ時は兵糧が届く前で、全然食べるものないわけで

その状況で4000人も受け入れちゃうって、ちょっと…その考えはわからない。

真っ直ぐで熱い男アルフだから、一時の情に流されて……にしても、流されすぎじゃないか?

何か理由があるのかなあ…と、思いはじめて、少し考えてみました。


まず、アルフのセリフで「約束したんだ!殺すな!」みたいに叫ぶとこがあったと思うので

その「約束」って、どういう約束だったっけな?ってとこから。


確か城主は、自分が生きてると誰も城から出られない、とか、兵達を辱めんでくれ、農民に

戻してやってくれ…みたいな事を言ってた気がします。

えーと、「辱める」には色々意味があると思うのですが、ここでは「敗残兵の扱い」とか

「略奪の対象」にはしないでくれ、みたいな意味だとしておきます。

うん、まあこれはいいや。


「農民に戻してくれ」。これは…生真面目に考えると、非常に大変な注文ですよ城主。

農民に戻すって言っても、「はいここで解散です。自分の村で農民に戻って下さい」って

わけにも行かないでしょ。兵士は自分の村で食い詰めちゃって、各地から集まってきた

もと農民。なわけで、ずっとほっといた自分の田畑は荒れ放題だし、すでに村があるかも

怪しいし。蘇州に残って農民になるにしても、多分種籾も全部食べつくしてるような

篭城戦の後で、これから開墾して農民になりましょう〜とか悠長な事言ってられないよねえ

その前に餓死しちゃう。


農民に戻すっていうのが、ほんとにそういうことじゃなくて、

「蘇城が敗れたら、もう太平天国軍は長くないし、もう兵士達を戦で死なせたくはない。

だから彼らを兵士じゃなくて、民として扱ってやってくれ」っていうことの比喩的表現

だったのかな?だとすると…

あ!

そうすると、城主が死んだのはプライドを守るため、じゃないのか。

「とにかく兵士達の命を助けたいけど、自分が生きてると、こいつらは

『城主を守るため、死ぬまで戦う!』っていうだろうな。自分が死んで、蘇城を明け渡して、

兵として守るものが無くなれば、兵はきっともとの農民に戻ってくれるだろう。」

って思ったのか。


「アルフは話が分かる情に厚い人物らしいし(シーがこういう情報入れてると思う)、

自分は死んで兵は投降させるから、命は助けてやってくれ、と頼んでみよう。

武器を捨てて民に戻った者達になら、食糧も分けてもらえるだろう。山軍には食糧があるし。」

(食糧を盗みに来た兵を、暗殺に来た兵だと勘違いしてたとして)…って風に考えたのかも。

城主、ずるいとか言ってゴメン!

追記ここまで


■英雄になりたい■

アルフのこの言葉、パンはすっごくショックだったと思います。


まず、魁将軍と取引したのは、山軍が先に南京に入れる公算があったからだと思うんです。

魁軍陣営に向かう馬上で、兵糧があれば蘇城はおとせる。城攻めで出る犠牲はこの位、

警護にこれだけ残して残りで南京へ急行して…よし、いける!みたいなシュミレーションして。

当然その中にはアルフが重要な戦力として組み込まれていた…のに、

帰ってみるとアルフがいない。

単身城に乗り込んだって聞いたときのパンの表情、アルフが大臣達に「蘇州の次は南京!」

て言っちゃった時の表情をさらに色濃くしたような顔してますよね。


でもこの時点では、「アルフ…なんて事を…」と思っても、自分の浅慮も一因か?って

気持ちもどっかにあったかも、と思うんですよ。

出かける前に城主暗殺の話が出た。仲間が次々に餓死する状況にあって、止める者も

いなければ、アルフがこういう行動に出るのは予測の範囲内だったのではないか?

何か手をうっておくべきだった。だがもう遅い。おそらくアルフは戻るまい…。のような。


そのあと兵の様子を見て回ってて、兵達は疲れ切っている…兵糧を得たとは言え、

死に物狂いで向かってくる蘇城の兵を相手に、アルフ抜きでどこまでやれるだろうか?

負けはしないが、多くの犠牲が出る…みたいなこと考えてたパンの目の前に、

なんとリィエンがいるじゃありませんか!

心弱ってる時に現れる女神のような、まさに運命の女ですよ。

見つめ合ってても見逃してやってよウーヤン…。


話がそれたので戻します(笑)


戌の刻(でしたっけ?)…合図はなく、アルフは死んだ、とパンは思う。

仲間の死を見過ごせないアルフらしい死に方だ。勝手な行動をとった事への怒りはあるが、

もうアルフは死んでしまった。お前の死も無駄にはしない。みたいな気持ちもあったと思う。

ところが、リィエンの「アルフは英雄になりたいと」で、パンは愕然とする。


このひと言で、アルフの

「死に行く仲間を助けたい一心で先走った」行動は、

「戦況打開の為に兵糧調達に出た上官を無視し、己の戦功を最優先した無責任な」行動

だったのか?って、裏切られたような気持ちになったんじゃないかと。


パンは、英雄になりたいって考え方は嫌いだと思うんです。

パンにとっては戦に勝って乱を終わらせることも、総督になる事も

民の世を築くための手段でしかなくて、乱を平定した英雄になりたいわけじゃ無い。


だからパンには、アルフの行動がものすごく自分勝手に見えてきた。

アルフが「善のために殺す事もあると知った」と言った時から、

同じ目的のために戦っていると思っていたのに…


「あいつはなにもわかっていない!
後に残される者のことも考えず、

『英雄になりたい』だと?ふざけるな!そんな事でお前は死んだのか!」って。


でもアルフは多分、そういう意味で言ったんじゃなくて…。アルフにとっては、

仲間を救う=仲間を救った英雄になる

同じことなんですよね。


今城主を殺しに行くのは命令違反になるけれど、

おれはどうしても仲間を救いたい=英雄になりたい。

男なら誰でも英雄になりたいと思う。兄上もきっとわかってくれるはず。

みたいな思い。


これがほんとに万策尽きての行動だったらまた違っただろうけど、パンが調達に行ってる

最中だったのが問題だよな…パンを信頼してないのと一緒だもん。


パンは怒り心頭だったかも知れません。

そしていよいよ城を攻めるぞ、という時…城門が開き、死んだと思ったアルフが出てきた。

城内の住民を連れて。

「まさか…無血開城?ありえない…」


この時のパンは非常ーーーーーーーーに複雑な心境だったと思います。

本当は勝手な事をしたアルフを怒鳴りつけたいけど

今や「城を落とした英雄」のアルフを兵達の前で貶めるわけにも行かない。

兵の士気が下がるし、下手すると兵はアルフについて自分に従わなくなるかも。

それで、笑顔を浮かべてアルフを迎える。


でも、それだけじゃないよな。

死んだと思ってたアルフが生きてた、って喜びは絶対あったと思う。


で、怒りや喜びや寂しさや打算が…ないまぜになって、

あの歪んだ…泣き顔のようにも見える笑顔になったのかな?と、思いました。


でも、笑いかけ、笑いかえしてくれるはずのアルフの顔に笑みはなく…。

パンの顔からも、笑顔は消えてしまった。