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数日後、私は皇帝の墓の前にいた。帰り際に聞いたひとことが、どうしても忘れられなかったからだ。


「私が…その皇帝に似ている?」
「似てるも何も、瓜二つだよ。だからさっきは、また蘇ったのかと思って…ついぶっ放そうとしたんだ。いくら俺でも、ただ嫌いな人間をいきなり撃つなんて事はしないさ」
「どうかなあ、父さんは乱暴だから」
「…アレックス」
「冗談だよ」
「お前、もう少し父さんを敬ったらどうだ?ちょっと墓を発見したからって、俺から見たらまだまだ…」
「何がちょっとだよ。世紀の大発見とか言って褒めてたくせに」

その会話を聞いていて、私はアレックスに聞こうと思っていた事を思い出した。

「そうだ、アレックス。君にも聞きたいと思っていたんだ。何故発見を公表しないんだい?」
「公表するも何も…墓の中にあった物は、みんな砂になっちゃったんです。土偶の兵隊、武器に鎧に副葬品…全部ね。遺構しか残ってないんですよ。巨大な皇帝の像だけは残ってるけど、墓だったって主張しても、それを裏付けるものが何も無いんです。それに、墓の主と直接戦っちゃったら…地道に調査なんてする気も起きませんよ」
「残念だったな」
「いえ、僕には別の研究対象が見つかりましたから」

彼はそう言ってリンを見た。彼女は幸せそうに微笑んでいた。



「呪われた皇帝…か」

ここに来ても何もないことはわかっていた。しかし私は、ここに来ずにはいられなかった。

「上海で彼らの話を聞いたが、何もわからなかった」という報告書では余りにもお粗末だから、一応関連がある墓を調査するふりだけでも…というのは、自分を納得させるための言い訳で…

…あの時。
私が皇帝に似ていると知った瞬間、感じた脈動。

感じたのだ。「彼」を。
そして引き寄せられるように、この地へたどり着いた。

どこかで…冒険家としての本能のようなものが、警鐘を鳴らしていた。
しかし私の中に沸き起こっていたのは、理性では抗いがたい感覚だった。


…私は、墓の中へと入っていった…。


序章・完



はい、序章は終了です。
「感じたんだ、彼を」って、ゲイブ君のセリフ使ってみました。なんたって、ある意味「マルチバース対決ゲーム」ですから♪
序章が終わって、次は本編…と行きたいとこですが、好きなキャラの話ばっかり散発的に思いついちゃって、ちゃんとした筋のあるストーリーにはなってないんですよね〜☆思いついたとこから順番適当に更新しちゃうかも(笑)

7/15色々誤字脱字があったところを訂正しました…(*ノノ)。ご指摘ありがとうございましたー!